今まであまり海外文学を読んでこなかったので、カフカを読んでみました。
勤勉な性格の主人公グレーゴルがある日突然巨大な虫になってしまうという突拍子もない話です。自身に起こった悲劇に絶望する主人公もさることながら、大黒柱を失い巨大な虫と暮らすことになった家族の苦しみが伺えます。
個人的には、この「虫になる」というのが現実社会でいう精神病の比喩なのではないかと思っています。突然働けなくなってしまう主人公、それどころか彼のその状態を周囲から隠さなくてはならないというのが当時の精神病患者の状況を想起させます。
現代でも、(精神病に対する理解はかなり広まっていますが)一度社会の歯車から外れてしまうと戻るのが難しいのが現状でしょう。生きづらさを感じやすい人が少しでも生きやすくなる社会にしていきたいものですね。