吉本ばななさんの作品を読んだのは2冊目になります。
「うたかた」
母と二人暮らしの鳥海人魚は、父と母がネパールに移住してすぐに、父のもとで暮らす嵐と出会う。しかし、母の具合が悪くなったことで嵐が母と入れ替えにネパールへ旅立ってしまう。
「サンクチュアリ」
智明は人妻の友子と不倫していたが、彼女が自殺してしまった。深い失望の中あてもなく見知らぬ土地の夜の海岸を歩いていると、浜辺で号泣している馨に出会う。奇跡的に家が近所だった2人は、日常に戻った後に再会する。
この二編はどちらも、家から遠い別の場所が重要な舞台となっていて、そこでの出来事が非現実のことのように思われます。
吉本ばななさんの作品は、「あり得そうだけどそうそう起こることではない」話が多いのかな、という印象です。(まだ2冊しか読んでいませんが…) 出会うべき2人が出会い、お互いの傷を癒していく。壮大な悲劇などではなくヒューマンスケールの物語であることが、その悲しみや幸福に温かさを生み出している気がします。