模型スタディの意義

近年3Dモデリング技術が発達して、模型を作らなくても建築設計をスタディできるようになってきました。しかし日本はまだまだ模型重視で、IT化されてないように感じます。よく言われるのが、パソコン画面だとスケール感が分からないというもの。しかし、私としてはそんなもの人の長さの線を置いておけば比率で分かるけどなぁ…と思ってしまい納得出来ずにいました。

そのため、留学の目的の1つが、海外はどれほど設計のIT化がなされているのかチェックすることでした。私は設計のスタディをほとんど3Dソフトで行ってしまう(日本だと珍しいかもしれない)のですが、海外は自由な形の建築が多いのでそれらもCADでスタディしているものと思っていました。

しかし、ベルヴィルのスタジオの先生は、模型でのスタディをとても重視していました。模型といっても、日本で主流のスチレンボードだけではなく(寧ろこれは少ない)、スタイロ(日本のものと質感は違う)や粘土、木(校内にFabがある)、果てにはコンクリートや石まで使っていました。どうやって作ってどこに捨てているのか分かりませんが…

確かにコンクリートなどの可塑性のある材料なら自由な形を作れます。

 

外出制限で入手できる材料も限られていたため、私は段ボールで内部空間のスタディをしていました。

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(1年生で出題された光の箱の課題を彷彿とさせる…)

他の学生も、オンラインになりモデリングに移行するかと思いきやずっとスケッチやドローイング、ありあわせの材料の模型でスタディしていました。あまりモデリングは使わないのかな…?

 

昨年参加したフランスのワークショップで建築の素材を意識する学生が多かったことと重なりますが、模型で使う素材が実際の建築の素材選びに繋がるという考え方の様です。

先生の分かりやすい例示が、OMAのシアトル中央図書館です。

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数あるスタディ模型の中でこれが1番しっくり来たのでしょうか、ファサードの網目がそのまま建築に適用されています。

 

私もこれに倣い(?)、モデリングで空間を再現しようとしたのですが、光の設定などの甘さもあり模型のようなパースにはなりませんでした。

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モデリングでは再現しにくいリアルな質感をスタディできるのが模型スタディの強みですね。

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