一眼を持って外を歩きたくて、久々に都内に足を運んだ。浅草から蔵前、御徒町のあたりまで歩いたのでだいぶ疲れたが、このご時世で人も少なくのんびり散歩ができた。
革製品のお店にふらっと入ったら、店主さんが気さくな方で、蔵前の話をしてくれた。
このへんは牛の街で、肉は食べ物屋、油は石鹸屋(ライオンなど)、皮は革製品の工房と、牛一頭をまるまる消費していた地域だという。しかし、工場の海外移転やオリンピックの後押しもあり、近年ではそういった店がめっきり減ってホテルに変わってしまったらしい。しかもこのコロナ禍で、せっかくできたホテルも収益が得られず売られていっているとのことだ。
こんなふうに全く先の読めない状況だが、職人気質っぽい店主は、自分の作るべきものを作るという感じ(勝手な想像だが)がして、その気楽さがなんだかよかった。
今日は街歩きをしてるんですと言ったら、何も買っていないのに親切にもガイドマップをくれた。このへんの下町の小店を集めたもので、コロナがなければ今頃”モノマチ”というイベントをやっていたらしい。
冊子を見ていると、ほんとうはあったはずの賑わいが見られないことに少し寂しくなったが、下町の人々の元気な様子は失われていなかったことに安心した。