前回の日光から舞台は宇都宮に移る。
フォトグラフィック・ディスタンス
栃木県立美術館の企画展。現代では解像度のいい、いわゆる「綺麗な写真」が簡単に撮れるようになった反動で、ボケやノイズなどのカメラの障害となるような要素が「表現」として敢えて取り入れられるようになった。主催者はこれを「不鮮明画像」「連続階調」と的確に言い表している。私の拙い文章でしか伝えられないのがもどかしいので、是非足を運んでいただきたい。(他の地域にも巡回してほしい!)
餃子を食べに行く待ち時間が長くて、その間にふらっと行ったがとてもよかった。予想より展示が多く、待ち時間に見るにはかなり急ぎ足になってしまってもったいなかった…。
展覧会には珍しく、文章がほとんどなかった。入り口に全体を説明する文章があるのみで、各作品の説明は全くない。タイトルと材料、制作年のみの情報で、あとは感じろ!という事だろうか。まだまだ芸術に疎い私には解釈する時間が足りない作品が多くあった。
印象に残った作品
色々とメモするのを忘れてしまい、なんのこっちゃ分からない説明になってしまいそうで恐縮だが、個人的に面白かった作品を記しておく。
島州一 「カーテン」
カーテンは窓を隠すものであるが、そのカーテンに窓を描くことにより見えないはずのものが見えるという錯乱に陥る。外から見えないようにカーテンを引いたのに、外から見られている感覚がする。実際はちゃんとカーテンで遮蔽されているのだが、その機能が失われてしまったかのように感じる。
秋山美帆 「ゆれるかげ」
不意に思いがけずシャッターを押してしまうと、ブレまくっていてなんだかわからない抽象画のようになることがある。この作品はそれを意図的に利用したものだ。
コラージュのやつ(作品名がわからない…)
作品構成が言葉で書いても伝わりそうにないので、ダイアグラムを貼っておく。
一見すると写真を半分に切ってずらしただけに思われるが、被写体はズレずに残っている。ということは、2枚の同じ被写体の写真を、被写体が全く同じ位置で切れるように裁断し、貼り合わせたということになる。これは作るの大変だっただろうなあと、製作側に思いを馳せてしまった。
大谷資料館
インスタ映えスポットとして最近人気の、石の採掘場跡。テレビでアーティストが歌っていたりするので、見たことがある人も多いかもしれない。中は暗いので、私の安い一眼レフでは全く綺麗に撮れなかった。早くフルサイズミラーレスが欲しい…
敷地内にはおしゃれな雑貨屋さんがあって、石の採掘場という風情に馴染みながらも最近のデザインを実現しているのがよかった。石を使った商品が資料館ならではという感じがした。